透析療法について
腎不全の治療は大きく3つに分けられます。
保存療法 比較的軽度な状態で、運動、食事療法、薬物療法で対応できる状態です。 |
透析療法 透析療法の適応は、年齢や社会的環境によって若干異なりますが、血清クレアチニン値が8mg/dl以上、腎臓の機能が10%未満になったときが目安になります。 |
腎移植
近年、腎移植はきわめて安全な治療法として確立されており、1年生着率も生体腎移植では95%以上になってきています。現状では一部の疾患を除き、血液透析を必要とする患者のほとんどが腎移植の対象となり得ます。
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血液透析
さまざまな原因で腎不全になり、腎臓がほとんど働かなくなったときにおこなわれる代替療法です。
しかし、腎臓の働きをすべて代行することはできません。
■血液透析にできること
・老廃物を取り除く
・余分な水分を取り除く
・カリウム・リンなどの電解質を調整する
・pHを調整する
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■血液透析でできないこと
・エリスロポエチンの産生 *1
・活性型ビタミンDの産生 *2
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*1 エリスロポエチン:赤血球の産生を促進するホルモン。
9割が腎臓で産生すると言われています。そのため、腎機能が低下すると貧血傾向になります。
*2 活性型ビタミンD:ビタミンDは骨代謝で重要な役割を果たしています。
その機能を発揮するためには肝臓と腎臓を経て「活性型ビタミンD」に変 わる必要があります。
そのため、腎機能が低下すると骨粗鬆症等の骨に 関する疾患になりやすいです。
日常生活における注意点
血液透析と健康な腎臓と比較してみると、健康な腎臓が24時間フルタイムで働いているのに対し、透析は一週間で12時間前後しか働くことができません。 腎臓と同じ働きをすることはできないため、食事など日常生活の過ごし方に注意が必要になります。 |
【食事で気をつけていただきたい事】
■水分の調節
からだに入る水分とからだから出る水分のバランスは保たれています。 しかし、腎不全の方は尿が出なかったり、減ったりしているため、 その分からだに入る水分量が出る水分量より多くなっています。 1回の透析療法では除水量に制限があり、飲水量で調節しなければなりません。
■塩分を控えめに
腎不全の方は、塩分を摂り過ぎると尿から塩分が排泄されずにからだの中に溜まってしまい、 喉が渇いて水分をたくさん摂ってしまいます。塩分の過剰摂取は水分制限を難しくしますので、 むくみや高血圧を生じ、心臓に負担をかけることになります。
■カリウムを控えめに
腎不全になるとほとんどのカリウムが体内に溜まってしまいます。摂り過ぎると高カリウム血症となり、 重篤な症状(吐き気、手足のしびれ、舌のしびれ、腰から下の脱力感、不整脈、心停止等)を起こす危険があります。
芋類、豆類、種実類、魚・肉類、乳製品、果物、野菜類、海藻類、乾物類に多く含まれていますが、加熱等の調理で減らすことができます。
■リンを控えめに
骨の主な成分はリンとカルシウムからなっており、このバランスを一定に保たなければなりません。 リンが高くなると、カルシウムは低くなってしまいます。そのことにより、骨粗鬆症等の合併症が起きやすくなります。
1回の透析で除去する量も限られています。
乳製品、豆類、加工食品、インスタント食品、練り製品、肉・魚・卵類に多く含まれています。 リンは調理方法では減らすことができませんので量を少なめにしたり、間食を控えて下さい。
●その他、詳しいことは医師からアドバイスがあります。